American Guinea Pig: Bloodshock

この記事は私の管理する別ブログに2016年に書いた記事に2019年に加筆修正をしたものです。

 

2014年のこと、巨大モンスターとしてのゴジラアメリカでリメイクされ日本のコンテンツが理解されたと喜んだ好事家も多いと思うのだけど、同時期にまた別の日本のコンテンツでアメリカでリメイクされ、一部の好事家に大いに喜ばれた作品がある。
ちなみにおれは、デカいイグアナが走り回る映画はゴジラとは思っていない(笑)。

GODZILLA ゴジラ(字幕版)

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同時期リメイクというのはギニーピッグのことだ。
とくに有名なのは2作目の「血肉の華」で、ホラー漫画家の日野日出志が監督作で良くも悪くも世界中のファンを驚愕させている。
オリジナルの製作者側が言うには「円谷プロから始まった日本の特撮技術を、一人の人間が解体されることで表現したい」ということで作られた作品だ。

「血肉の華」のリメイク作がアメリカで 「Bouquet of Guts and Gore」なるタイトルで発表され、奇跡的にも日本国内盤が発売され、しかもツタヤやゲオなんかでレンタルできる。
オリジナルのギニーピッグが凶悪犯罪との類似性をでっち上げられ闇に葬られた時から30年近くもの時間を所要した。
ゴジラを例えにだしてしまったが、ギニーピッグなんて評価する人間は世の中の極小数だ。
だが、優れた作品であるからこそ評価する人もいて、そしてリブートしようとする人もいるのだということが証明された。
 

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で、あまり話題になってないようなのだけど、アメリカ版ギニーピッグの2作目も制作されている。

*1
「Bloodshock」という作品で、オリジナルを含めたシリーズの被虐側が女性であったのに珍しく、中年男性が
被虐側になる。

 

ギニーピッグというタイトルの所以は、実験動物にある。
つまり実験動物のように虐待虐殺解体されるということが本来のテーマであり、2作目の人間を解体するグロテスクさのみがテーマの作品であると思われがちなのだけど、じつはちょっと違うのだ。
アメリカ版ギニーピッグの2作目である「Bloodshock」は、そうした意味では原点回帰と予想でき、大いに期待した。
で、内容はどうだったのか。。。。。


あ、言い忘れたけど閲覧は字幕なしの英語版、そしておれはあまり教養がないので英語はほとんど理解できない。
ただし会話はあまりない作品だったので、それなりに理解できたとは思っている。


【あらすじ】
中年男性が拉致され昏睡状態で舌を切断され、
ほとんど言葉を発するのができない状態で一室に監禁されるところから話は始まる。
監禁した主犯格は医師のようで、その補助役がいる。
主人公は監禁された部屋と診療室のような拷問部屋での医療行為まがいの拷問を受けるようになる。
膝をハンマーで打ちのめし歩けなくしたり、ギザギザのついたローラー(この医療器具ってなんだろ?)で体中に傷を付けられたりと。
主人公が絶望していくなかで監禁部屋の壁の隙間からメモ紙が出てくることに気がつく。
内容は「地獄へようこそ」だの、「あなたを愛している」だとのいったものだ。
隣室にいる同じように拷問を受けている女からのものだった。
そして女は主人公よりもより酷い拷問を受け、より廃人に近い状態になっている。
女が拷問部屋に運ばれ、麻酔もなく腕を切り裂かれ先に仕込んでいたと思われる異物が取り除かれる。
そして腹部を開き心臓が愛撫された後に金属製扉のような器具で切開した腹部が閉ざされる。
これでいつでも内蔵が取り出せる状態だ。
そして主人公の拷問もより壮絶なものになっていくなかで、主人公と女のメモのやり取りも増えていく。



以上、完全なオチまで明かさぬよう注意しながらあらすじを書いた。
アメリカ版ギニーピッグ「Bouquet of Guts&Gore」に比べるとゴア表現はぬるめのものになっている。
前作のような血や肉や内臓が花のように咲き乱れ(笑)なゴア表現を期待してしまうと、ちょっとものなりないかも知れない。
また、今作での試みは医療系拷問ホラーにしたことにより、実験動物のような拷問による苦痛をテーマを考え作ろうとしたのであれば、(違ったらすいません)もの足りないことが多く感じられた。

要は何が言いたいかと言うと、ちょっと残念な作品だったというのが率直な感想なのだ。
拷問する側がどのような存在なのかもいまいち理解できなかった。
その点、前作の
「Bouquet of Guts and Gore」なんて、女をさらってきてバラすという目的で非常にわかりやすい(笑)。
医療系拷問ホラーにありがちな苦痛度合いを徐々に強めていくという過程も、さきの文章から予想できないくらい、実際に鑑賞するとちょっとぬるめだ。
他作品を出して申し訳ないが、最近流行りのトーチャーポルノ作品と言われる「マーターズ」や「グロテスク」のような加虐者側の理念も人間性が見えない。
そのため加虐行為に狂気さえも感じられなかった。

また、登場人物たちの行動の不可解さは主人公サイドにも見受けられる。
終盤に女が主人公に突如欲情し始めてセックスが始まってしまう。
ああ、監禁された者同士で愛が芽生えたのかって思いきや、これまで傷つけられ縫合された箇所をお互いに喰みあい、血も肉も引っ張り合いっこで血まみれになる。
ちなみに、この作品はほとんどのシーンがモノクロなのだけど、クライマックスのセックスシーンだけ突如カラーとなる(笑)。
この一連のシーンは狂気に染まった二人って言いたいんだか分かんなかったが、むしろ滑稽に見え笑ってしまった。
あ・・・ネタバレしないつもりがネタバレしちった(笑)。

と、酷評になってしまったものの、語学に貧弱なおれが母国語以外での視聴だったので、言語部分が理解できればもう少し評価は変わるかもしれない。
MADVIDEOさん、ローカライズお願いします(ホントに)。

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 2017年1月17日に国内版が出てました。

 

 

*1:この記事を加筆修正した2019年1月時点では未見であるが、アメリカンギニーピッグは新作も制作されていたはずなので鑑賞することができたらまたレビューを書きたく思う。